- 全科目を短時間で復習できる問題集がほしい
- 基本論点を強化したい
- 〇×答練の特徴を知りたい
社労士試験の特徴は科目数と知識量の多さ。ある科目の勉強をしていたら他の科目の知識が抜けてしまった、なんて経験は誰もが一度はあると思います。今回ご紹介する〇×答練は、全科目の基本論点を効率よく復習できる問題集です。
私は1回目の受験、選択式の社一で基準点割れし不合格。2年目は問題演習を増やすために勝つ!社労士受験シリーズを追加し、特に〇×答練は年間通して4,5周繰り返しました。その結果、2度目の挑戦では選択式37点・択一式54点で合格することができました。
この記事では、〇×答練の概要、実際に使って感じたメリットやデメリット、オススメの人、効率的な使い方について解説しています。
- 基本論点を短時間で効率よく復習できる問題集がほしい
- 〇×答練の購入を迷っている
- 択一式の得点力をアップしたい
そんな方には必見の内容です。
〇×答練の概要
〇×答練は、労働調査会が出版している勝つ!社労士受験シリーズの一つ。勝つ!社労士受験シリーズの中でも一番最初に発売される問題集です。
勝つ!社労士受験は中上級者向けの月刊誌『月刊社労士受験』の別冊として出版されているシリーズですが、使用に当たって月刊社労士受験とリンクはしていないので、〇×答練単独でも問題なく使用可能です。
〇×答練の概要は以下の通り。
タイトル | 著者 | 発売日 | ページ数 | 問題数(概算) | 価格(税込) |
---|---|---|---|---|---|
〇×答練 | 山川靖樹の社労士予備校 (監修:小林勇) | 2022年11月25日 | 181頁 | 全700問超 (一問一答) | 1,320円 |
〇×式でテンポよく進められる問題集。初級から中級レベルの問題を集めており、基本講義が終わった直後から直前期まで長く使用できる内容です。
監修されている山川社労士予備校の小林勇講師は、月刊社労士受験でも基本論点で構成された問題演習の連載を担当されています。条文ベースでクセのない基本論点を中心に問うてくる問題が得意です。
小林講師がご担当される連載は月刊社労士受験の中でもオススメの内容です。気になる方はこちらをどうぞ。
〇×答練のメリット6選
〇×答練は勝つ!社労士受験の中でも万人にオススメしやすい問題集。実際に使って感じたメリットを6つご紹介します。
基本論点メイン
掲載されているほとんどの問題が過去問や他の問題集でも繰り返し出題されるような論点を問うものになっています。本試験のレベルも逸脱しておらず、やればやった分だけ本試験の得点につながる、コスパの良い問題集です。
問題集の中には本試験では出ない、もしくは出題されてもほとんどの人が解けないような問題を多く掲載しているものもあります。中上級者向け受験学習誌と名乗っている月刊社労士受験はその典型です。そういう教材を使う場合は、解かない問題を決めたり復習のメリハリをつけたりと工夫する必要があります。
〇×答練の場合はほとんどの問題が大切な論点。問題の取捨選択をせず、全てを完璧にするつもりで一つ一つ丁寧に解いていけば大丈夫です。
逆に言うと〇×答練で間違えた部分は基本知識が不十分な部分。苦手な論点は基礎講義やテキストに戻ってしっかり復習する必要があります。
1冊で全科目に触れられる
全科目の問題が1冊にコンパクトにまとまっているので、知識のメンテナンスに最適です。
予備校や通信講座のカリキュラムの弱点の一つが、全科目に触れる機会がなかなかないこと。基礎講義は1科目に数週間かかり、答練の時期でも1週間で1科目くらいのペースが標準です。社労士試験には全部で7科目あるので、労働基準法から始めた場合、1週間に1科目だと最後の科目にたどり着くには1か月半かかります。社会保険科目まで終わらせたら労働科目のことなんて覚えてない、なんて悩みは多くの受験生が1度は感じたことがあるんじゃないでしょうか。
〇×答練は計700問で全科目を掲載。全科目の基本論点に幅広く触れられることがメリットです。発刊が11月と早めなので、早いうちからサブ教材として活用できるのも〇。特に前年まで知識を衰えさせたくない2年目以降の受験生には最適です。
使いやすい構成
〇×答練は見開きの右側に問題が掲載、めくった次のページの左側に解答解説が掲載されている構成になっています。
実物を見たい方は下記のページサンプルが分かりやすいです。
- 解答をすぐに確認できる
- 解答を探す時間がかからず、ストレスフリー
- 本誌の紙自体が厚めでしっかりしているので、答えが透けて見える心配もなし
個人的には一問一答形式の問題集の中ではベストな構成を採用してくれていると感じます。
問題の正解がほとんど「×」
問題を解いているとそのうち気づきますが、ほとんどの問題の正解が「×」になっています。数えていませんが、体感では×が正解の問題と〇が正解の問題の比率が8対2くらいの感覚です。
2023年度版の場合ですが、恐らく毎年「×」が多い構成になっていると思います。
正解が×の問題は、問題文のどこが間違えているか、どう直せば正しくなるか、を判断する必要があります。〇が正解の問題よりも考えて解く必要があり、復習しやすい問題。各問題で間違いを正しく指摘できるようになる頃には間違いなく実力アップしているはずです。
持ち運びが楽
〇×答練は180ページ。過去問題集を除いた勝つ!社労士受験シリーズのなかでは最も厚みがありますが、全科目の問題が掲載されていることを考えるとコンパクトです。
社労士試験の地味に大変なところの一つが、科目数が多く、教材を揃えるとかなりの分量になること。外で勉強するとき、念のためと思って大量にテキストや問題集を持っていったら荷物が多くなって大変だった、なんて経験は誰でも1度はあると思います。
〇×答練は全科目が掲載されていて、これだけでも1日分の勉強としては十分な量。複数科目の勉強をしたいときに、〇×答練1冊を持っていけば済んでしまうので、持ち運ぶ問題集の量を減らすことができて重宝します。
安価
これは勝つ!社労士受験シリーズ全てに当てはまるメリット。1冊1,320円(税込)と非常に安価、私にとってはちょっと贅沢したお昼ごはん1食分くらいの感覚です(笑)
教材を追加するからにはしっかり使いこなすべきですが、この位の値段なら気になるから試しに購入してみる、という判断も良いと思います。気軽に買い足せるという意味でもサブ教材として優秀です。
自分に合わなかったり、〇×答練まで手を広げる時間が取れずに放置することになったりしても、このお値段ならそれほど痛手には感じないんじゃないでしょうか。
デメリット3選
〇×答練は比較的クセのない問題集なのであまり目立ったデメリットはありませんが、強いてあげるなら3点、ということでご紹介します。
全体の網羅ができない
勝つ!社労士受験シリーズ共通の欠点です。〇×答練の問題全てを完璧にしたら合格点に達するかと聞かれればNoと答えます。
全体を短時間で復習できるということは、裏を返せば問題数が少ないということ。合格点に達するには1科目1,000問くらいは解きたいと言われる社労士試験、〇×答練だけでは演習量不足です。
〇×答練はあくまで全科目の基本論点を広く浅くおさえるためのもの。本試験を突破するにはもう少し問題演習を積む必要があります。
迷ったら×、で解ける
メリットに挙げたとおり、〇×答練の問題は多くが「×」が正解。ということは迷ったら「×」を選んでおけば正解することが可能です。「×を選んで正解したけど、問題文のどこが間違っているかは分からない」という状態では実力がついたとは言えません。おそらく同じ問題が模試や本試験で出題されたとしても、確実に答えられるか怪しい状態になってしまいます。
問題文のどこが間違っているかまできちんと確認しないと実力がつきません。
白黒印刷
〇×答練に限らず、勝つ!社労士受験シリーズは全ページ非常に簡素な白黒印刷。シートで隠せる赤文字もなし、特に〇×答練は図解もなく、文章がひたすら並んでいるので他のシリーズよりも余計に簡素と感じるかもしれません。文字ばかりだと読むのが辛い、という人には合わない可能性大です。
レイアウトは好みの問題ですが、ある意味教材選びで一番大切なところ。社労士試験に限らず、どんな試験、どんな教材であっても有効活用すれば実力をつけることができます。そうすると教材を選ぶときは世間の評判よりも、自分に合うものかどうかを大切にするのが一番。合わないなと思いながら使う教材は解く気が起きないし頭にも入りにくく、良いことがありません。直感で自分には合わないと感じるのであれば、無理に〇×答練を使う必要はないと思います。
解説は丁寧なので内容としては十分です。あくまで印刷が簡素というだけ。
〇×答練をオススメする人3選
比較的多くの方にオススメできる〇×答練ですが、私がオススメするのは特にこの3点に当てはまる方。
定期的に全科目に触れたい2年目以降の受験生
11月に発刊された段階で、全科目の勉強がひととおり終わっている方、つまり本試験経験者の受験生が適していると思います。その理由は手軽に短時間で全科目に触れられることが〇×答練最大のメリットだから。
多くの社労士試験受験生は予備校や通信講座を使って対策をしていますが、難点は全科目が終わるまで時間がかかり、ほとんどの予備校が労働科目から順に進んでいくこと。経験者コースであっても一般常識科目の勉強が本格的に始まるのはおそらく2,3月頃からになる人がほとんどだと思います。
〇×答練には全ての科目が掲載されているうえに、発刊が11月と早め。メインで使用している予備校・通信講座が労働科目なので、〇×答練で社会保険科目や一般常識科目に触れておく、という使い方は学習計画のバランスとしても最適です。
逆にいうと初学者の方には必要ないかな、と思います。「早い時期から全科目の問題が解ける」という〇×答練のメリットが生かせません。
メインとは別にサブ教材がほしい
今もっている教材だけではマンネリ化してきた、他の問題集で新しい問題に触れたい、という人にオススメです。量が多すぎる訳でもなくしかも安価。サブ教材として気軽に追加するのに最適です。〇×答練を解いてからメインの教材に戻れば新たな発見もあるかもしれません。
特にオススメしたいのが前年度から同じ予備校・通信講座を続けて使用されている方。同じ講座を使用すること自体は、カリキュラムや教材の使い勝手が分かっているので良いことだと思います。しかしメイン教材で使っている問題集は何度も解いたからもう得るものがない、と感じる人も多いんじゃないでしょうか。そういう人が新しい問題にチャレンジするために〇×答練を使うのはベストな選択です。
私自身もメインの通信講座は2年続けてクレアールだったので、新しい問題にも触れたいと考えて勝つ!社労士受験シリーズを追加しました。
択一式問題の得点力を強化したい
社労士試験の合格に必要なのは難しい問題を取ることではなく、全科目で基本論点をしっかり押さえること。応用論点は深追いせず、受験生の多くが解ける問題は全て落とさない、くらいのスタンスで学習するのがベストだと思っています。
本試験では未出題論点も出題されます。特に労働科目はほとんどの人が解けないような細かい論点の出題が社会保険科目より多めです。しかし応用問題が1問解けても、基本問題を2問落とす方が危険。特に2年目以降受験生にありがちですが、細かい知識ばかり身につけて基本がおろそかになりがちな人は要注意です。
〇×答練は本試験でも何度も出題されるような基本論点を中心とした問題集。根拠を持って解答を出せるようになれば択一式の得点力アップ間違いなしです。
一問一答形式なので五肢択一よりも一つ一つの問題にじっくり向き合うことができるのもメリットです。
〇×答練の使い方
最後に、1年間自分でも実践していたオススメの使い方を3点に整理してご紹介します。
繰り返し解く
〇×答練の問題はほぼ全てが基本論点の問題なので、マスターする価値があります。ごくたまにテキストにも載っていないような論点が問われることがありますが、各科目2,3問程度です。そういう問題は例外として軽く流してください。
- 2,3周解いてもう間違えないであろう問題は放置
- 2回以上間違えた問題は集中して解く
という風に、問題ごとにメリハリをつけて何度も繰り返せば、高速で全科目の復習ができるサブ教材の出来上がりです。
私自身も勝つ!社労士受験シリーズのなかで一番繰り返した問題集が〇×答練です。
サブ科目の勉強に最適
メインで取り組んでいる科目とは別のサブ科目に触れたいときに非常に使いやすいのが〇×答練。サブ科目を短時間で基本論点に絞って復習するのは、気持ちの切り替えにもなって有効です。
- 横断整理のために、健康保険法
- 関連する分野があるので、労働保険徴収法
- しばらく触れる機会がないので、一般常識
ただし、あくまでもサブ教材。メイン教材の進捗が不十分であれば、メイン教材をしっかりこなすことが優先であることは忘れないでください。とはいえ関連知識を身につけることでメイン教材の理解を深める助けにもなると思います。
問題文の誤りを指摘できるまで仕上げる
〇×答練は、ほとんどの問題で「×」が正解になっていることがメリットでありデメリットでもあります。
正解が分からないとき、とりあえず×を選んでおけばほぼ正解できますが、その方法では力がつきません。
「×」が正解の問題の良いところは、誤っている部分=その問題のポイントなので、覚えておくべき論点が分かりやすいこと。最終的には間違っている文章を見た時に違和感を感じられる状態、特に数字の誤りにはすぐに気づける状態まで持っていけるようになることを目標にすると良いと思います。
間違っている文章に違和感を持てるようになると本試験でも必ず役立ちます。
購入は全国の書店や通販サイトから
まとめの前に1点補足。勝つ!社労士受験シリーズは全国の書店や送料無料の通信サイトから購入することをオススメします。公式サイトから購入することも可能ですが、月刊社労士受験と異なり、勝つ!社労士受験は1冊1冊定価での購入しかできず、送料も発生するのであまりオススメしません。
私自身は楽天ブックスで事前予約が可能、しかも楽天ポイントも付くので、楽天ブックスから購入していました。
まとめ:〇×答練で基本論点の復習を効率化!
今回は勝つ!社労士受験シリーズの1冊、〇×答練についてご紹介しました。
- 基本論点がメイン
- 1冊で全科目に触れられる
- 使いやすい構成
- 問題の正解がほとんど「×」
- 持ち運びが楽
- 安価
- 定期的に全科目に触れておきたい2年目以降の受験生
- メインとは別にサブ教材がほしい
- 択一式問題の得点力を強化したい
学習範囲の広さと知識量の多さが特徴の社労士試験では、メイン科目の勉強に精一杯で前の科目の復習ができないことが多くの受験生の悩み。特に予備校・通信講座から届くテキストや問題集はボリュームが多く、復習をしながらカリキュラムを消化するのは一苦労です。
〇×答練を使えばその悩みが解決。コンパクトな問題量で全科目に触れることができるので、知識のメンテナンスに最適です。お持ちの教材に飽きてきた方、効率的に使えるサブ教材をお探しの方にはオススメの〇×答練、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
勝つ!社労士受験シリーズ全般については下記のリンクをご覧ください。