- 月刊社労士受験を購読してるけど、使い方が分からない
- どの部分を重視すれば良いの?
- 全部やってると時間が全然足りない・・・
月刊社労士受験は問題の難易度が幅広く出題パターンも豊富。慣れないうちは使い方に戸惑う人も多いんじゃないでしょうか。そんな人の為に今回は月刊社労士受験の中でも万人にオススメできる連載、「全科目テスト」についてご紹介します。
穴埋め形式と一問一答形式の基本問題で構成されたこの連載、社労士試験の出題形式ととても相性が良く、私自身も月刊社労士受験の連載の中で最も重視した内容です。全科目テストのおかげで、私は2023年8月の本試験で選択式は40点中37点、択一式は70点中54点を取ることができました(自己採点)。
特に選択式はこの連載なしでは取れなかった点数です。
「全科目テスト」を最大限に活用したい方は是非一読ください。
月刊社労士受験は問題演習メインの中上級者向け月刊誌
全科目テストの中身に入る前に、まずは月刊社労士受験について軽くご紹介します。
月刊社労士受験は労働調査会が発刊している、その名の通り社労士試験の受験生向けにつくられた月刊誌です。
発行 | 毎月1回(各月1日) |
印刷 | 二色刷り |
ページ数 | 各号100ページ弱 |
特徴 | 法改正・白書の最新情報が得られる 山川先生の科目解説をはじめとした動画解説 学習のペースメーカーに最適 苦手分野の強化に 問題演習中心の構成 |
- 中上級者向け
- 問題演習が豊富
- 選択式対策に最適
特に2年目以降の受験生にオススメの月刊誌です。
内部リンク:【月刊社労士受験】選択式・基準点割れ対策にオススメの月刊誌です
全科目テストの特徴
名称は年により異なる
月刊社労士受験の連載は年によって名称が異なります。
今回取り上げている連載の場合、各年度の正式名称は以下のとおり。
- 2022年:全科目総合テスト
- 2023年:全科目チェックテスト
- 2024年:全科目トレーニングテスト
この記事では上記3年分の名称から共通部分を抜き出して、「全科目テスト」として紹介していきます。
内容や構成は基本的に毎年同じです。
穴埋め問題と一問一答問題で構成
全科目テストの概要は以下のとおり。
掲載月 | 全号(2023年度は10月号のみ掲載なし) |
問題構成 | 各科目穴埋め5空欄、一問一答10問(安衛、徴収法は3問ずつ) |
目安時間 | 穴埋め、一問一答それぞれ60分 |
他の連載は5月号までですが、全科目テストは直前期シリーズである6~9月号にも欠かさず掲載されています。出版社側としても本連載に力を入れている証拠です。
問題・解答解説は、
- 穴埋め問題が各科目半ページから3/4ページずつ掲載
- 一問一答が1ページずつ各科目10問掲載
- 穴埋めの解答、一問一答の解答解説
の順で掲載。穴埋め問題、一問一答の回答の最後には得点分布を記録できるレーダーチャートが3回分載っています。自分の苦手を一目で判断するのに最適です。
山川社労士予備校の小林勇講師が担当
本連載を担当するのは、山川社労士予備校の小林勇講師。2013年から山川社労士予備校で教材作成に従事されている先生です。
全科目テストの特徴そのものでもありますが、
- 基本問題中心の作問
- 条文ベースの記載を重視
- 癖のない良問が得意
が特徴です。
小林勇講師は月刊社労士受験の別冊である「勝つ!社労士受験」の〇×答練の監修も担当されています。こちらも全科目の基本問題を総ざらいできる良い問題集なのでオススメです。
内部リンク:〇×答練(作成中)
全科目テストのメリット3選
全科目テストの3つのメリットは、私が本連載をオススメする理由そのものでもあります。
珍しい穴埋め問題
一問一答も癖のない良い内容ですが、私は穴埋め問題の方を推します。選択式ではなく「穴埋め」というところがポイント。つまり選択肢がなく、記述式の問題です。
初めて解いた時は最後のページまでめくって選択肢を探しましたね・・・
- 選択肢を見る前に答えを思い浮かべる習慣が身につく
- 他の問題集ではなかなか経験できない出題形式
- あいまいだった知識を確実なものにできる
最初は選択肢を用意されていないことに戸惑いますが、慣れてくると「ないものは仕方ない」と割り切れ、穴埋め形式に抵抗がなくなってきます。
穴埋め形式に慣れるメリットは、選択肢を見る前に空欄に入る語句を考える習慣が身につくこと。さらに進んで「空欄を見ると回答が思い浮かぶようになる」状態になればしめたもの。思い浮かんだ回答を選択肢から探して選ぶだけなので、紛らわしい誤答に迷う必要がなくなります。
私は「空欄に何が入るか考える」解き方が習慣化したおかげで、選択式はなるべく選択肢に頼らない勉強方法が身に付き、本試験でも「グルーピングした4つの選択肢から一番合ってそうな1つを選ぶ」ではなく、「20の選択肢から正しいと思う1つの答えを探して、選ぶ」解き方ができました。選択式40点中37点(自己採点)が取れたのは明らかにこの解法のおかげです。
私はこの解き方を「解答の一本釣り」と読んでいます。因みに判例問題にも応用可能です。
内部リンク:勉強方法(作成中)
基本問題メイン
社会保険労務士試験は広く浅い対策が大原則。特定の分野を深堀してもあまり本試験には役立ちません。全科目テストは穴埋め・一問一答ともに基本問題がメイン。基本論点を網羅したテキストがあればほとんどの問題について記載があるくらいのレベル感です。
テキストに載っていない論点も、少し深堀した程度なので、全く歯が立たないということはありません。
そのまま本試験に出題されてもおかしくないレベルなので、最初は慣れない穴埋め形式の問題も、初見である程度は解答可能なはず。
少し脱線しますが、経験者が使用する問題集は「5,6割が初見で解答できるレベル」が丁度良いと思います。
- 全部初見で正解できる:レベルアップが期待できない
- 初見ではほぼ全て間違える:復習に時間がかかり、やる気も湧かない
- 5,6割は初見で正解:復習しやすくモチベーションも維持しやすい、丁度良いレベル感
月刊社労士受験には難易度が高すぎる連載や問題もいくつかあるなか、全科目テストは基本的にその心配はなし。安心して取り組める内容です。
全科目に短時間で触れられる
全科目テストを使えば短時間で全科目の勉強時間を取ることができるので、知識のメンテナンスに最適です。
予備校や通信講座のカリキュラムの弱点の一つが、全科目に触れる機会がなかなかないこと。基礎講義は1科目に数週間かかり、答練の時期でも1週間で1科目くらいのペースが標準です。社労士試験には全部で7科目あるので、労働基準法から始めた場合に1週間に1科目だと最後の科目にたどり着くには1か月半かかります。社会保険科目まで終わらせたら労働科目のことなんて覚えてない、なんて悩みは多くの受験生が1度は感じたことがあるんじゃないでしょうか。
全科目テストは各科目穴埋め問題が5空欄、一問一答が10問。全科目合計で40空欄と70問です。目安時間はそれぞれ60分なので、決して少ない量ではないかもしれませんが、2時間で全科目に触れられるのは大きなメリットです。
2周目以降、復習の段階に入れば少なくとも2時間かかることはありません。
メインの講座や教材で1つの科目の全範囲を学習しつつ、全科目テストを使って他の科目にも少し触れておく。効率的でマンネリ防止にもなるのでオススメの学習計画です。
全科目テストのデメリット3選
もちろんデメリットもありますが、他の教材と組み合わせることで克服可能です。
解説が簡素
一番のデメリットは解説が不十分なこと。穴埋め問題は解答が載っているだけ。一問一答の解説はしっかり書かれていますが、スペースが少なく、各問題2,3行のみ。一緒に触れておきたい関連知識までは網羅しきれません。
対策としては、問題を解いたらメイン教材の解説も参照すること。基本問題が大半なので、ほとんどの論点はメイン教材にも掲載されているはずです。答え合わせをしたらお手持ちのテキストで該当箇所や関連知識を確認しておくことをオススメします。
問題数が少ない
短時間で全科目に触れられるということは、裏を返せば問題数が少ないということ。
各科目穴埋め5空欄と一問一答が10問。全部で40空欄、70問と聞くと割と分量があるように感じるかもしれませんが、全科目でこの量だと社労士試験の勉強量としては不十分です。
あくまで目安ですが、合格ラインに達するには1科目1,000問くらいは解いた方が良いと言われています。7科目あるので合計で7,000問、過去問でいうと20年分(択一式のみ)です。
1科目1,000問を目安にすると、全科目テストの分量では絶対に足りないことは明らか。月刊社労士受験全体に言えることですが、あくまで補助的な立ち位置の問題集であり、「全科目テストを繰り返し解けば合格ラインですよ」と言えるものではないことにはご注意ください。
問題と解答解説が離れている
若干ですが、問題と解説のページが離れているので、行ったり来たりするのが不便です。全科目を一気に解いてから解答解説を見るよりも、1科目問題を解いたら解答解説を見て、次の科目に進む、という解き方をしたい人は何度も問題と解答解説のページを往復する必要があります。
問題集は見開き左ページが問題、右に対応する解答解説が掲載されているか、右ページに問題、めくった次の左ページに解答解説が掲載されている形式がベストだと思っています。
全科目テストのように問題と解説が離れていると、
- ページを行ったり来たりするのに時間を取られる
- 問題と解説を見比べてづらい
- 1科目ごとに答え合わせをする場合、次の科目の答えを隠さないと正解が見えてしまう
という問題が発生します。
極端に離れているわけではなく、解答解説自体は見やすいので大きな問題にはなりませんが、地味にストレスを感じる人もいるかもしれません。
全科目テストの上手な使い方
最後に、全科目テストを私がどうやって活用していたか、オススメの使用方法をご紹介します。
月刊社労士受験の中で最も重視
繰り返しますが全科目テストは基本問題がメインの構成。本試験にそのまま出題されてもおかしくないレベルの問題が並んでいるので、完璧にしておく価値ありです。
月刊社労士受験は中上級者向けを名乗るだけあって、たまに極端に難易度の高い問題が掲載されています。難しい問題は時には捨てる判断をしないと、断片的な知識ばかり身に付き基本的な論点がおろそかになる可能性も。いわゆる「知識のドーナツ化」現象に陥ってしまい、試験対策としては逆効果です。
全科目テストは捨てる判断が必要なレベルの問題は基本的に出ないので、安心して繰り返し解くことが出来ます。月刊社労士受験では他の連載は5月号までで終了しますが、唯一全科目テストだけは9月号まですべての月号に掲載。本誌側としても本連載を重視している証拠です。
また、複数月の全科目テストを繰り返していると、他の問題集ではあまり見ないのに、月をまたいで繰り返し出題されている論点があることに気づくかもしれません。私はこれを「作問者の好きな論点」と呼んでいて、出題されれば他の受験生と差をつけるチャンスと捉えています。年間通して全科目テストを解いていると、小林講師の好きな論点を繰り返し解くことになるので、基本問題+αの知識を身につけることが可能です。
私が月刊社労士受験の年間定期購読をオススメする理由の一つです。
内部リンク:定期購読のススメ(作成中)
穴埋め問題を優先
選択式対策を重視した受験生2年目の私は一問一答よりも穴埋め問題を重視。穴埋め問題に関しては、問題文を読み、空欄に入る語句が頭に入るくらいまで繰り返すことを目標に取り組んでいました。文章を読んで答えが思い浮かぶ状態は、言い換えると選択肢を見なくても選択式が解ける状態。他の紛らわしい選択式に惑わさずに自信をもって回答を選べるようになるので、本試験でも活きること間違いなしです。
社労士試験はある程度学習が進むと「いかに選択式で各科目3点を取るか」が最大のハードルになります。統計は取っていませんが、2年目以降の受験生は「択一式は総合点をクリアしたけど、選択式の基準点割れで不合格だった」という人が10人中6,7人くらいいる気がします。
選択式で各科目3点を確保するには、基本論点の失点は絶対に避けたいところ。余計な選択肢に惑わされず、解答を一本釣りできれば点数は安定するはずです。
一問一答はメリハリつける
一問一答問題も穴埋め問題と同じくマスターした方が良いのはもちろんですが、全ての問題を何度も繰り返し解く必要はないと考えています。その理由はすんなり解ける問題、ほぼほぼ間違えないであろう問題もいくつかあるはずだから。
- 過去問でも繰り返し問われる問題
- メイン教材でも重視されている論点
- 講師が詳しく説明していて印象に残っている部分
一問一答形式は恐らく社労士受験生のほとんどが一番慣れている問題形式。他の教材でも解く機会が多いので、メインで使っている教材でも学べる論点などは全科目テストでは問題を解く回数を減らすなど、工夫してあげれば学習効率アップです。
私の場合、初見から2回連続で正解した問題はもう解かないことにしていました。あくまでサブ教材なので時間をかけすぎないことも大切です。
まとめ:全科目テストは選択式対策、知識のメンテナンスに最適なオススメの連載
今回は「月刊社労士受験」の中でもオススメの連載、「全科目テスト」について紹介しました。
- 珍しい穴埋め問題
- 基本問題メイン
- 全科目に短時間で触れられる
- 月刊社労士受験の中で最も重視
- 穴埋め問題を優先
- 一問一答はメリハリつける
社労士試験は広く浅く、基本を徹底が大原則。この大原則を全科目効率的に、かつ本試験より難易度の高い穴埋め問題という形式でトレーニングできるのが全科目テスト最大の特徴です。「これだけやれば大丈夫」とは言いませんが、「これをやれば勉強が効率化できるし、選択式の解き方に革命が起こるかもしれない」とは言えます。
資格試験の教材は買ったあといかに有効活用するかが大切。購入しただけで満足していては宝の持ち腐れです。月刊社労士受験を買ったものの何から始めれば良いか分からない方、選択式対策を重視したい方、ひとまず「全科目トレーニング」を徹底してやってみるのはいかがでしょうか?
月刊社労士受験全体について知りたい方は下記のリンクをどうぞ!